東京バーベキュー ~歩くひと、佇むひと~

 
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TITLE

同潤会三ノ輪アパートに続いて、九段下ビルも解体されてしまい、残るは上野下アパートただ一つとなってしまった。「あ~あ」という気持ちと、まあそんなもんでしょという気持ちが大半。

それで、解体記念と云う訳でもないが、同潤会アパートと九段下ビルを解体年順に一覧してみた。個々の数字は結構あやふやだけど、大きく狂っちゃいないはず。んで、つくってみると、いろんなことが脳裏をかすめていくなあ...

●下町のどんづまり

おいらにとっての九段下ビル・三ノ輪アパートとは、「下町のどんづまり」というランドマークであった。

靖国通りに面する九段下ビル。ビルを背に靖国通りを左に歩けば、ものの5分で神保町の古本屋街に出る。右手は俎橋を渡るとすぐ九段の坂で、坂の上には靖国神社が見えている。そういう場所に九段下ビルは建っていた訳。のっぺらとした低地のどんづまり、あるいは坂の下、そんなぎりぎりの場所に、怪しくて濃密な風景の一角があって、それが九段下ビルだったわけ。こっから先は別世界、みたいなことを暗示する境界のしるし、だね。

三ノ輪アパートは、下町と郊外の境界線だった。そっから先は下町(都市!)ではないよという暗示。

例えば三ノ輪を起点とする都電荒川線はおいらにとっては郊外電車であり、三ノ輪電停前王電ビルヂングがつくる2つのゲートは「ようこそ郊外へ!」というメッセージであって、今でも何やら心が浮き立ち、まるでハイキングに向かうような妙に陽気な気分になったりする。

おいらの中の「同潤会アパート=下町と郊外の境界」という実感は、三ノ輪アパートに限った話じゃない。上野台地の際を東方向に出発し、三ノ輪アパートを超え、隅田川を超え、時計周りにゆっくりと弧を描く。その円弧が深く心に刻まれているのは、中之郷・猿江裏町・清砂通といった同潤会アパートの点景の連続が重なりあっていたからだ。たしかにどの建物も異形の存在であったのだな。

●東京の濃密な円弧

海岸に波が寄せ、そして引いていくと、雑多な漂着物が痕跡として残される。東京の濃密な円弧も、江戸・東京の波の痕跡なのだ。江戸と呼ばれた都市がその範囲を拡大させていくとき、江戸はいろんなものを周辺に追い立てていった。迷惑なもの、人目につけたくないもの、邪魔なもの、などなど。

例えば、当初、江戸城の真ん前、今の日銀本店の場所にあった刑場は、小伝馬町へ、次に浅草鳥越町へ、さらに浅草を経由して、千住の宿場町の隅っこまで追い立てられる。その痕跡は常磐線と東武線の線路のスキマにかろういて残されている。

上野にあった貧民窟。一葉の「たけくらべ」に登場する芸人・奇人・変人のパレード、新吉原を目指す一行の出発地は、上野の貧民窟であったに違いない。貧民窟もまた郊外へ追い立てられる。新しい時代の新しい産業と生活にそんなものは邪魔なんだな。上野から日暮里のすぐ向こう側の空き地へ、後の時代には、その一部はさらに遠く、隅田川の向こう岸まで追い立てられる。

江戸・東京の最初の引き波は関東大震災。同潤会アパートがスラム対策と震災復興の合わせ技になっているのは、東京の風景を眺める上で、実にシンボリックな出来事だった。そういう歴史を知ったのは、意識して町を歩き始めたあとに知ったこと。

おいらの場合、先に「東京の濃密な円弧」があった。一連野まちあるきも、今から考えてみると、円弧にそって歩いてみたり、放射状に内から外へ外から内へ足早に突き抜けてみることで、その空気の濃度の変化を感じとってみる、そんなことの繰り返しだったように思うんだ。

円弧の内側を歩くときまって物足りなさを感じていたのは、整理整頓し尽くした町だからだと思う。確かに円弧の町はあらゆるものが混在している。逆に、円弧の外側ではいつも途方に暮れっぱなしだった。

●京成電車に乗る

先日、京成電車に乗った。かつて同潤会アパートが建っていた日暮里の町から葛飾区某駅まで。再開発でとんでもないことになってる日暮里の町にある京成電車のホームもまたとんでもないことになってた。これ、ジェットコースターの乗り場じゃん!。で、電車に乗ったらこれまたとんでもないことになってた。京成線は今、改造の真っ最中であって、だから至る所、工事中。そのため、右に寄ったり左に寄ったり、やたら鋭角的にカーブを刻む。高架かと思うと地上、高架化と思うともっと高架という塩梅。おいらが乗った特急電車は、そんなアクロバティックな線路をカッ飛んでく。脱線するんじゃねえか、おいおい。まさにジェットコースター。

そして、車窓から見る町の風景もこれまたとんでもないことになってたわけで、何の脈絡もなく建ちまくる高層住宅と、工場なのか工場跡地なのかすら判別不明の広大なスキマ、残りの大多数を圧倒的に占拠する家屋群。うむ、ジェットコースターのような京成線特急電車の車窓から眺めるジェットコースターのような風景の下には、ジェットコースターのような町があるのかもしれん。

駅前再開発のランドマークは、それをランドマークと呼ぶにはあまりにも、、、と思いつつ眺めてたのだけど、後日考えるに、あれは立派なランドマークだった。だってさあ、下町ではない、郊外でもない、そう呼ばれることを断固拒否する風景が広がってるわけで、それは今のところ如何なる名前も与えられてない、ただの「周辺」なわけ。そういう場所のランドマークとして、如何なるものも象徴しない、象徴を拒否する象徴ってのは、潔いし、これほど相応しいものはない。

同潤会アパートが存在し、レトロチックな三ノ輪電停が存在し、人を誘う先は郊外。
同潤会アパートが消え、ジェットコースターな日暮里駅が出来て、その先は周辺。
同潤会アパートの喪失というのを、おいら的にこういうことだろうと仮説してみたら、結構、しっくり来てしまったのだな。

●今後 ~名もなき周辺~

濃密な円弧の外側を歩く時に感じていた「とりとめのなさ」も、下町とか新下町とか郊外とか、そうした既成の言葉を捨ててしまって、名前すらついていない周辺だと割り切ってしまったら、急に面白いものばかりに思えてきた(気がする)。そろそろ歩き方を変えてみようかと思っていたところだし、そういうわけで、今後はムニャムニャです。
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Kudanshita_Bld_01

写真の通り。

九段下駅で降りて歩いてみる。
坂を降りて、日本橋川の橋詰めで煙草一本吸って、
橋の上に立ち、高速道路の向こう側を覗き見る。

Kudanshita_Bld_02

高速道路の向こう側、こんなに小さいビルだったけか。
すでに記憶あやふや。
それにしてもツルっとした不思議な風景。

Kudanshita_Bld_03

もとあった建物の図面。
1927年、関東大震災の復興計画として建設された。
被災した商店主達が組合を作り、だから出資額に応じて区分所有されてた。
それで、典型的な下駄履きスタイルになったというわけ。
今となってはそれもどうでもいいこと。

Kudanshita_Bld_04

ビルの裏側に回る。
隣接する駐車場側は仮囲いが低く、端から端まで見通せた。
躯体の解体はまだなようだ。

Kudanshita_Bld_05

一階の木星の建具はすでに壊され、内部が丸見え。

Kudanshita_Bld_06

視線を上へ。
建具や内装が廃材と化している。
窓が残っているのは廃材の搬出に利用できないから。

Kudanshita_Bld_07

この部分は後から増築したものだろうか。
それとも、権利割合の都合で元々出っぱらしたのか。
鉄骨、コンクリブロック、モルタル、トタン。
東京の近代のオンパレード。

Kudanshita_Bld_08

よくよく見ると、この物干し、
ベランダと言うのかバルコニーと言うのかわからないけど、
なかなか気持ちよさげ。

Kudanshita_Bld_09

窓と出入り口。
ここも物干しだったか。
記憶は薄れていく。

Kudanshita_Bld_10

裏側を真正面から。
最上階の柱型が印象的。

Kudanshita_Bld_11

こうして見上げると、結構複雑な形してたのだな。

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先ほどの物干し。
窓枠の奥に蛍光灯の残骸が見える。

Kudanshita_Bld_13

重機がつかむ布袋には、
残された生活の品々が詰め込まれてる。
湯飲み茶わんとか時計とか。

Kudanshita_Bld_14

階段、急だなあ。
当時はこんなものか。

Kudanshita_Bld_15

また、布袋が上へ。

Kudanshita_Bld_16

ここにも階段、とても急な傾斜。
あとから改築したのだろう。
この建物は、そういう風に至る所、改変されていたはずだ。

Kudanshita_Bld_17

地上にたまった廃材。
あと数日で作業が一段落したら、いよいよ躯体の解体だ。

Kudanshita_Bld_18

静かに解体を待つ九段下ビル。

Kudanshita_Bld_19

解体に向け、こんなのも行われていたようだ。
Tag : 九段下ビル 
    11:51 | Top
 
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Kudan-shita Building 5

その頃、まだ小学生だった自分は、チャリンコで無茶苦茶遠出をするという遊びに取り憑かれていた。今日は右へ行こう、左へ行こうと決め朝早く自宅を出て、ひたすら進み、コーラを飲み菓子パンをかじり、行けるとこまで行く。太陽の高さを観察して、これ以上進んだら帰れなくなるという頃合いを見計らい、ここで限界かと引き返す。行ける範囲の限界は太陽の高度だった。

Kudan-shita Building 7

隅田川を越え、上野を過ぎ、秋葉原のカクタ前を通りすぎ、それでも陽はまだ高い。御茶ノ水のディスクユニオンから三省堂書店、そんなの無問題。そして、右手に時代がかった古いビルが見えてくる。何かが潜んでいる気がして怖じ気づく。怖くなる。急に孤独になる。もうコーラを飲んでる余裕はない。

Kudan-shita Building 2

その先は登り坂になっていて、坂の途中には大きな鳥居が見える。坂の手前には、煉瓦風の古ぼけたビルが佇んでいる。道路の向こう側にも同じ様な建物が建っている。向こう側の建物はいかめしく屹立しているが、こちらのビルは横にゴロンところがっていた。まるで煉瓦で出来た街のようだった。

Kudan-shita Building 6

自分にはそんな風景が何か境界めいたサインに思えたのだ。坂の上は別世界だと。坂の手前ぎりぎりに建つビルの古風な外観は、こちら側の世界の終点なのだった。別の世界に足を踏み込むことの踏ん切りがつかなくて、自転車で坂を登ることがとてつもない苦痛に思えてきて、一目散に引き返すのだった。陽は十分に高かった。

Kudan-shita Building 1

靖国神社~九段下~神保町は大人になった今も、よく散歩する。地下鉄で移動するときなど、二回に一回はわざと遠い方の駅で下車して、この通りをゆっくり歩いてみる。ここが下町と山の手の境にあたるということは大人になってから知った知識のひとつ。

Kudan-shita Building 4

数年前から空き地だった建物裏手からは、あいかわらず無秩序に建て増ししたカオスのような立面が顔を見せている。かつては一部だけにかけられていたネットは今や建物のほぼ全域を覆う勢いだけれど、なぜだか取り壊しになる気配なはい。

Kudan-shita Building 3

九段下ビル、今でも中に立ち入れるのだろうか。

※)参考にしたWebsiteはこちら
Tag : 九段下ビル 
    14:01 | Top
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