東京バーベキュー ~歩くひと、佇むひと~

黒い骨格が存在感を際だたせる。ストイックでシャープでタイト。そして遠くから見てもとても目立つ。なんというか、ミースのレイク・ショア・ドライブ・アパートメントをそのまま横に寝かせたような、そんな印象。
レイク・ショア・ドライブ・アパートメントは、鉄とガラスの造形のように見えるが、実際は鉄骨のまわりにコンクリートが巻かれている。ミース本人は、steel & glass を貫きたかったのだけど、シカゴの都市部にしかれている耐火規制がそれを許さなかった。鉄骨では火に弱いということで、コンクリートで鉄骨を耐火被覆することが要請された。それで、ミースはどうしたかというと、シャープネスとストイックさを失いかけたコンクリートの柱梁に薄く鉄板を巻いた。その鉄板の薄化粧を僕らは眺めているのだ。「デザイン留学のにっき」の一番下の写真がその辺を伝えている。
ストイックな黒が背景の紅葉によく馴染んでる。こんな色の取り合わせが「あり」だとは思ってもみなかった。この亀久橋、関東大震災の震災復興事業の産物で昭和4年のもの。少し昔の写真を見ると、黒ではなく水色に塗られていた。僕としては、黒に一票を投じたい。

この橋、細かい部分を見ていくと、とても凝っている。梁に透かし彫りのような文様が刻まれている。柱に据えつけられた照明灯はカブトムシだ。

橋詰の石には蝶がとまっている。
やるな、亀久橋!
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