東京バーベキュー ~歩くひと、佇むひと~
「名もなき坂」を下った先の谷底、稲付谷を歩く。
谷筋方向には2本の道路が走ってるけど、
対する直角方向には道がない。
ここは数少ない十字路。
写真では奥行き方向が谷筋になる。
先の方に樹木が茂ってる一角がある。
樹木がたっぷりと一年中湿気を吸って育っているようで、
やはり湿った土地ならではの風景だと感じる。
注意して歩くと、
道ばたの日陰になってる部分にも、
小さな草が苔のように生えている。
ここはかつては川が流れていたのだという。
その水は、稲付の利水に欠かせないもので、
だから、水利権を巡り、周辺の村と張り合ったのだと言う。
赤羽の地質と歴史 地質・地形
稲付はかつて水が良いということで有り難がたがられていた。
総じて、谷間は腐植土が堆積して水位が高く、地盤は良くない。
谷間の地盤の悪さは、いろいろな人の話からも間接的に分かる。今から20数年前、大がかりな下水道敷設工事をしたら、周辺の家屋が軒並み傾いたことがあるという。地中を掘ると腐った芦が出てくるところもある。亀ヶ谷に大きなアパートを建てたある人は、20メートルも杭を打たなければならなかったと話している。つい最近、イトーヨーカ堂の裏で掘削工事を行っている人に訊いたら、地表から5メートルは腐植土層で、その下に緑灰色のローム土、13~15メートルの深さに比較的硬い層(砂礫層?)があるが、これはすぐに抜けてしまうという。台地の崖下に家を建てるために、台地側の土地を削ったら、水が出て工事が遅れたということもあった。
谷底に射す陽の光、猫さん。
タイヤ一式、室外機ファンとのコラボ。
地面の湿った匂い。
不在。
頂きに向かって進むと、
どんどん谷底の幅が狭くなる。
この辺りまで来ると、家の裏はすぐ崖。
両サイドとも崖。
谷筋の一本道。
うわ、すげー。
地の底に落ちて行く感覚。
こういう言い方は何だけど、
清水坂公園なんて目じゃない。
目がくらむ。
そして美しい。
きっと坂には名前がついえるんだろうけど、
いまのところ僕にとっては
名もなき坂。
坂の途中の桜は満開。
本当にこんな風景が、
こんな近くにあったなんて驚きだ。
東京もまんざらじゃないね。
台地と平地の斜面に、
へばりつくように伸びる坂。
階段のうねる感じがたまらなくいい。
現在のところ、僕のベスト・ビュー・オブ・トーキョー。
坂の下は湿っていた。
やっぱりこうじゃなくっちゃと思った。
水の匂い、森を思わせる。
清水坂公園よりこっちがお気に入りなのは、
この水の匂いのせいなんだ。
清水坂公園は森じゃない。
森の片隅で眠る猫一匹。
25円広場について、もう少し。
これは、まちあるきの1週間前の25円広場。
なんか、辻を歩く人がさまになる。
そういう場所ってなかなか貴重。
それで、この場所に興味持った。
この日は、とても寒かったです。
たった一週間でこれほど体感温度が違うのか、
季節ってのはすげーなあ、
ついてに、東京ってのはすげーなあと。
えー、これが、辻に面してるお店、
今野商店さん。
たばこ、食品、ジュース、雑貨。
郵便ポスト。
こういうのが辻に面してる。
今野商店脇から撮った一枚。
歩くひと、やっぱり、さまになってる。
変な道ばたが、ちょっとした広場になってて、
小さなお店と郵便ポストが、
広場感に彩りを添えてる。
つうかんじです。
ベトナムの街なかにはたくさんカフェがあって、
あれ、好きなんだけど、
ああいうのここにあったら似合うなあ。
そんなこと思ってた。