東京バーベキュー ~歩くひと、佇むひと~

 
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The Kumano Shrine and Yodobashi Purification Plant 04

熊野神社の参道は拝殿からまっすぐ南に延びているのだけど、
その入口はきゅっと折れ曲がってる。
これが入口部分。
 ↓
The Kumano Shrine and Yodobashi Purification Plant 01

で、折れ曲がった先が「十二社通り」になるのだけど、
熊野神社の境内は、通りから数メートル高台になっている。
というか、正確には、「十二社通り」が周囲より低い土地なのだ。

地図を見ると一発で理解できるので、
Ground Interfaceに登場願おう。
 ↓
the terrain map of The Kumano Shrine and Yodobashi Purification Plant

赤い丸でかこった部分が新宿副都心。
茶色の台地に♯型の引っ掻き傷がついているけど、
これが副都心の高層ビル街になる。
その♯型のスクラッチのすぐ左に一本谷筋が入ってる。
拡大するとこんな感じになる。
 ↓
the terrain map of The Kumano Shrine and Yodobashi Purification Plant 02

この谷筋が十二社通りになる。
地図の右上から左下に向かう曲線は神田川で、
このままたどって行くと井の頭公園にたどり着く。
十二社通りの谷筋は、水が台地を浸食したもので、
その雨水の流れは、神田川に到達していたのだろう。
そして、その到達点が「淀橋」という地名にあたる。

淀橋から神田川を離れ、急流に沿って上って行くと、
その先に、熊野神社の参道が始まっている。
そういう仕掛けになっている。
これが第一点。

余談だけど、
副都心の引っ掻き傷はとても痛々しい。
こういう傷跡を見てしまうと、
国家プロジェクトとは残酷なものだなと思う。
それは、文字通り「台地を傷つける」ことであるのだな。

次、歌川広重「角筈熊野十二社」(名所江戸百景)
 ↓
The Junitori, or Twelve Kumano Shrines at Tsunohazu

中央に描かれてるのが「弁天池」。
2つの池、落差4mの滝があり、
春は桜、秋は紅葉で賑わったという。

その池はどこにあったのだろう。
江戸時代の古地図「古地図 - goo 地図」には、
十二社権現が描かれている。
青梅街道と甲州街道の間、内藤新宿からほどよく離れ、江戸の家並が途切れた先、
現状と同様、南に鳥居、境内を北に向かって拝殿。
弁天池はそのすぐ西になる。
弁天池から青梅街道の「ヨドバシ」までは川が流れている。
やはり、「十二社通り」のある谷筋ということになろう。

同じ、「古地図 - goo 地図」の航空写真には、
今の熊野神社入口の向かい側に、水面らしきものが写っている。
神社のすぐ東側には、水路か小河川らしきものも写っている。
小河川らしきものの残骸は淀橋まで続いていて、
その途中は「区立けやき公園」という細長の公園も見える。
これらがその名残だろうか。

そんなわけで、江戸時代の熊野神社界隈は景勝地として栄えていた。
どのくらい景勝地かというと、
広重が取り上げるくらい景勝地だったのだ。
これが二点目。

もうひとつ。

こちらは、google map。
 ↓

より大きな地図で TKO-BBQ data.03 from Edo to Tokyo を表示

現在の航空写真の上に、江戸の市街地を重ねてみた。
濃い色の方が、寛永図以降、第五次天下普請の江戸。
いわゆる御曲輪内。
薄い色の方は、明治11年の東京市。
江戸時代末の市街地の広がりがトレースできる。

江戸というのは、斜面地のすぐ先は入江という条件だった。
いまでこそ、日比谷入江は埋め立てられ、
武蔵野にスプロールしているけど、まあ、そんなもんだった。

そんなもんだった都市が拡大するとき、
飲料水の確保は最大の問題になる。

寛永図の頃は、江戸の飲料水は千鳥が淵に頼っていた(右アイコン)。
現在は、はるばる多摩湖ということになっている(左アイコン)。
関東大震災の震災、太平洋戦争の戦渦、高度成長で、
呆れるくらいに東京は馬鹿デカクなった。

明治以降、東京が拡大し、
千鳥が淵では間に合わず、多摩湖が出来るまで、
そんな時期の東京の飲料水を供給していたのが淀橋浄水場になる。
今の新宿中央公園がその場所にあたる。(中央アイコン)

最初の地形図に戻ってみる。

the terrain map of The Kumano Shrine and Yodobashi Purification Plant

千鳥が淵は、寛永図の江戸で、最も標高の高い場所に当たる。
だから、ここから江戸市中に水を引き回せた。
多摩湖もしかり。
そういう風に、熊野神社の地を眺めると、
ここは、旧東京市の中で、一番、標高の高い場所にあたる。
武蔵野の一番高い尾根が山手線の内側にまで侵入してきている。
これが三点目。

そして、今の風景があるということになる。
 ↓
 ↓
 ↓
うーむ、、、

熊野神社は、
中野長者と呼ばれた室町時代の紀州出身の商人・鈴木九郎によって応永年間(1394-1428年)に創建された(熊野神社 (新宿区) - Wikipedia
のだという。
紀州商人は、熊野水軍の末裔なのだろうかしらん。
なんといっても、その創建された地は、
日比谷入江から神田川を上り、急流の先なのである。

熊野神社には湧き水が湧いたという。
その境内は、江戸~東京で最も標高の高い土地であり、
浄水場として、東京の飲料水を支えることになった。
「水の地」である必要が無くなると、
水を支えた台地の岩盤が、
今度は、副都心を支える役目を担わされた。

昔から神社仏閣は、公界的性格を持っていて、
無宿の者、無縁者、世間から多少ずれた者が身を寄せ合っていた。
新宿中央公園には、いま、ブルーテントが並んでる。
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The Kumano Shrine and Yodobashi Purification Plant 03

地下通路を抜け、新宿中央公園を通って、
熊野神社までやってきた。

なにを見たくてやってきたのかというと、
やはり、「空の高さ」ということになる。

The Kumano Shrine and Yodobashi Purification Plant 02

鳥居の前に立ち、拝殿を向くと、
正面左手に空はあるものの、
右手は高層ビルが乱立していて、
「空が広い」とは言えない。

半分残っててよかったねという見方もあれば、
半分、切り刻んで無惨という見方もあるんだろう。

自分は、どうだろうか。
これは簡単に答えを出せそうにない。

例えば、「深川不動堂、草履と背景。」では、
深川不動尊の背景の銀色のオフィスビルをなんじゃこりゃと思い、
なんとか写り込まないようにとアングルを決めたもんだし、
谷中、風景の始まりと終わり。 」では、
日暮里再開発による風景の変化にショックを受けた。

だからどうなのかというと、
なにどうなのか?
そこがわからないのであるな。
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