東京バーベキュー ~歩くひと、佇むひと~

 
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11
 
 第一部は、1990年、江東区木場の団地に引っ越してきた東川君がお父さんや友達と下町を探検した記録。第二部は、その11年後の2001年に、東川君 の歩いた町を、なぎら健壱が再探検するという趣向。さらに10年経った今、東山君となぎら健壱が巡った町を歩いてみたくなる本。もちろん、その際のガイド ブックとしても使える。観光スポットの紹介は控えめだけれど、その分、「地の表情」の変わりっぷりを味わえること間違いなし。そんなまちあるきに興味ある 人は買って損はない。
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14
 
 本書の最大の功績は「ファスト風土」「ジャスコ化」という言葉を発明したことに尽きる。それ以下でもそれ以上でもない。というのが率直な感想。

 "suburbanizing"という重要な問題を取り上げてしまった分、その取り上げ方のチープさとな語り口のエキセントリックさばかりが鼻につき、逆に問題を陳腐化させてしまったのではないか。
    19:35 | Top
 
23
 
 『こち亀』の作者秋本治がその緻密な扉絵に登場する町への思い入れを語る本。左ページに歴代の扉絵、右ページが関連するエピソードとなっていて、さながら、両さんと歩く下町散歩案内という趣向。
 「亀有公園前派出所」自体はフィクションであっても、『コチ亀』の扉絵に描かれる町がやたら緻密でリアルであることは、多少なりとも亀有の町を知っている者には常識。その扉絵について、秋本治は、最初は『取材ののときに撮った写真なんかで、いいものがあればただ扉絵にする』程度の者だったのが、あるシリーズをきっかけに『両さんのいる風景』として『自覚して下町を描こう』と思い至ったのだそうだ。そのことによって、両さんの目と秋本治の目が重なり合うことになった。
 自分は、本来の下町・山の手の一回り外周の町、かつて郊外だった町の人による"郊外本"として読んだ。
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02
 
 永井荷風の「濹東綺譚」が、発表されたのは1937(昭和12)年のこと。玉の井を歩いたのをきっかけに読んでみた。ストーリー以上に興味深かったのは当時の風景描写。あわせて、木村荘八の挿画、ステキ。
 そこにあるのは、紛れもない昭和12年の郊外だということ。荷風自身もそのことを意図して玉の井を舞台に設定してる。具体的には、舞台のベースとして「古き良き風景を失いつつある東京郊外」があって、その郊外において期せずして発生してしまった「玉の井と呼ばれる都市」の物語なのであった。
 いまさら荷風の最高傑作の書評ってどうよ?なので、都市生活者が郊外の中の都市を味わうという複雑にネストされた関係に注目したく、物語に表現された風景に限定してレビューしてみる。
 今回は無駄に長いぞっと。
    00:24 | Top
 
10
 
 泉麻人が生まれた町「下落合」と遊んだ町「東京」を語ったエッセー。第1章「僕のご近所地図」は子供時代、第3章「ああ青春の東京地図」は学生になって行動範囲が広がった頃の話、第2章は現在の「僕」が東京を散歩して今と昔の接点を語るというもの。収められた文章は1995年から2000年に書かれたもの。
 「下町」で生まれ育った人の本を読んだら、今度は「山の手」で同時代を送った人の本を読みたくなって、この本を選んだ。南伸坊が解説で『この本は、つまり同じ体験をした人にだけおもしろい、なつかしい本ではないのだ』と書いているけど、それに重ねて、自分は東西の郊外を比較してみるというふうに読んだせいで、二重に楽しく面白く読めた。うまく書けないが、違う時間と違う場所を通り過ぎて行った人の物語ではなかった。下町・山の手と言う前に「郊外」と呼ぶことで見えてくることがある、そんなことを改めて感じた。

    14:02 | Top
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