東京バーベキュー ~歩くひと、佇むひと~

 
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Megurogawa_8

ひとつ前のエントリ、冒頭の写真。
向こう左側にかろうじて写ってる木造家屋。
船溜りをぐるっと回って、そこまで行ってみる。

強い日射しの光と影。
路地の植物、自転車。
低い電線。
昭和の風景。

Megurogawa_7

日射しがファインダにかからないよう、
角度を探して撮ってみる。
子供の頃、そこかしこで見た平凡な風景。
一点だけ違うのは、ここは敷地がどれも整形なこと。
品川浦の水際が直線なので、
その直線にあわせて、土地を区切るから必然的にそうなる。
おいらが子供の頃見たのは、もっとぐちゃぐちゃ。
畑地をゆらゆら流れる水路がもとになっていたから、
必然的に敷地も揺らいでしまうのだ。
そういう意味で、これはまさしく漁村の風景なのかも。

家屋の壁が木だからなのか、すぐ隣が水辺だからなのか、
不思議と暑くない。
それで、街区をひとまわりしてたら、
片隅に「しながわ百景選定」と刻印された案内版があった。

しながわ百景
区政40周年および区民憲章5周年にあたる昭和62年に、その記念事業として「わがまちしながわ」の生活・歴史・風土を伝える風景を区民の皆さんに選んでもらったのが「しながわ百景」です。候補地として推せんいただいた風景は、210余件にのぼりました。
※現在はなくなっているものもあります


なるほど、「しながわ」は品川宿ではなく、
品川区を指すと云うわけ。
今日見て歩いたところでは、
「北品川の古い民家の家並み」以外にも、
「旧東海道のにぎわい」と「品川浦とつり舟」が選ばれてる。

じっくり眺めてみると、結構、味わい深くて、
神社仏閣と都や区の公共施設ばかりで、
当たり障りないよう無難にまとめてしまうのではなく、
「○○商店街の賑わい」「大井競馬のトィンクルレース」、
とかも選ばれてる。

まあ、選ばれているからと云って、
保存されるとか、開発が回避されるということではない。
実際、ここも、表通り側は最近取り壊されたみたいで、
コインパーキングになってたりする。

保存とか保全とか、或いは、区民の総意とか合意とか、
そんなややこしいことはともかくとして、
控えめに遠慮ぎみでよいから、
「いいねと云ってる人が少なからずいます」ということを
文化ではなく都市計画として言い切ってしまってよいのではないか。

たぶん、90年代後半にやられた都市マスタープランは、
そのための限られた機会だったように思うのだが、
たかがマスタープランのくせして既成概念にとらわれすぎて、
チャンスを逃してしまったようにも思う。

総意でも合意でもなく、「反対」でも「反対のはんた~い」でもない、
ただ「声がある」という「存在の印し」として使ってしまえば、
今頃、面白いことが始まっていたかもしれない。

Megurogawa_7

ああなんか、楽しそうだ。
なんと云っても、柵の向こう側だというのが、よい。
遊びというのは、柵の向こう側でやるものなのだ。
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Tag : 品川浦 
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 Megurogawa_2

「残す」でも「残すべき」でもなく、
「残ってほしいという声がある」という全体の合意ですらない「部分」を、
都市計画の部品としてマーキングする制度があってよいんじゃないか。

橋の上で、そんなことを考えていた。

 Megurogawa_1

旧東海道品川宿から海の方向に向かって歩き出すと、
ほどなく、「つり船こちら」の看板が見えてくる。
でその先には、船溜りの風景。

背景は高層マンションだったり、
高度成長時代のマンションだったり、
ロンリープラネットなら間違いなく採用するに違いない風景。

 Megurogawa_3

水面の幅が微妙に平行でなく、
だから、半分自然半分人工の、絶妙なバランス空間になってる。
足して二で割る式でも、平準化されたテーマパークでない、
がっつりとモザイク、その振れ幅が魅力なんだと思う。
少なくとも、日本を観光する外国人はそこを見たいと思ってるし、
案外気づいてないけど、日本人も同じではないかしらん。

目黒川

東京都世田谷区三宿の東仲橋付近で北沢川と烏山川が合流して目黒川となり南東へ流れ、品川区の天王洲アイル駅付近で東京湾に注ぐ。

起点(北沢川と烏山川の合流点)から国道246号の大橋までの600m強の区間は暗渠化され、それと併せて地表部分には人工のせせらぎを抱いた緑道(目黒川緑道)が整備されており、カルガモや鯉、ザリガニなど様々な生物が住み着いている。大橋より下流は開渠となっている。現在、「清流復活事業」として、目黒川を流れる水の大部分は新宿区の東京都下水道局落合水再生センターで下水を高度処理したものを導いている。目黒区の辺りでは桜並木があり、花見の時期には多くの見物客でにぎわう。

河口付近では古くは「品川」(しながわ)といい、湾岸開発が進む以前は河口付近で流れが湾曲していて流れが緩やかであったため、古くは港として使われ、品の行き交っていた川であった。これが「品川」の起こりとされる。


何を隠そうこのおいらも、
管理された緑道やら親水公園にまったく興味ない。

 Megurogawa_5

木造二階屋。
物干の真下は、船溜り。
うらやましい。
都市計画では、こういう風景は駆逐すべきものだった。
(今だっておんなじか。。。)
それが残ってしまった。

そして、町行く人、まちあるきする人、
カメラを持つ人のすべてがファインダ向けると云う事実がある。

「北品川橋」の欄干には「大正十四年九月年竣功」の文字。
そのころはまだ、当りは漁村だったのかもしれない。
そういえば、東京の海を歩くというのはまだやってなかった。

橋を渡った先には台場跡が残る台場小学校、
それから、
かつては海に突き出していた祠(利田神社)があるはずなのだけど、
それはまた次の機会。

 Megurogawa_5

大通りは柳。
最近の街路樹はみな小洒落てしまったので、
こんなものまで、懐かしく感じたり。

さて、冒頭に書いた一節。
家に帰って、つらつらとWEBを眺めるとこんなのがあった。

船溜まりの風景 - 都市徘徊blog
正しい景色とか、良い景色とかいう議論には、なんだか虚しさを感じてしまう。議論してもきりがないという感触と、そもそも風景に対して、正しいとか間違ってるとか、良い悪いって評価をすること自体どうなのよ?、という感覚がある。最近はその手の議論には与したくなくなっている。so what?、それで?、という感じ。
無気力というわけではない。好きな景色はある。嫌いな景色もある。ただそこに、今の私には善悪を断ずる正義感がない。


ああ、ほんとうにそういうことだと思ったよ。
おいらも、善悪/正義を評価するまちあるきって、嫌。
「評価→合意→プランニング」なんて反吐が出てしまうと毒づいてしまうのは、
そんなことより、無数の「おいらの声」→「ログ化」なんだよと、思うからか。
なんつうかさ、IT時代とかいってる割に、都市計画って、パソ通以下。
Tag : 品川浦 
    21:06 | Top
 
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 Tsuki_no_Misaki

安藤広重『月の岬』は、
名所江戸百景の中でもお気に入りの一枚。
品川宿から見た江戸湾の風景を描いたのだという。



品川は遊里としても有名だった。深川とともに岡場所であった。宿場町は目黒川をはさんで南と北にあったが、遊里は北の宿場に栄えた。そこに、外壁が土蔵のように見えるため「土蔵相模」と呼ばれた旅篭屋の跡がある。広重が『名所江戸百景』「月の岬」で描いた料亭はここだという説もある。

『月の岬』はちょっと不思議な構図だ。

月といえば、たしかに満月の月がぽっかり浮いている。湾にはたくさんの船。その湾の上空の「月」をじっと眺めてみたりするのだけれど、妙に落ち着かず、視線があっちやそっちに漂流ってしまう。障子裏の女性の影、遊女?。よくみると奥には芸者の後ろ姿も。芸者の背後、たぶんここが構図の中心なのだけど、そこにはてんでばらばらに放られた煙草入れ。廊下の松の影には酒徳利。どうやら、これは宴の後らしい。客人が遊女とよろしくやって、芸者を差し向かいで事後の余韻を楽しんで、そして、客人は絵の外へと消えてしまった。田中優子は『客は浜辺に出ていった』のだという。主人公はもうここにはいない。視線はどこまでも開放的な構図を漂流いつづける。で、それが心地よい。

絵師が構図を決めている最中、ほんの少し緊張を解いた瞬間に、登場人物たちはみな、「はいはい、おわり、おわり」とか云いながら、てんでばらばらに解散してしまった、そんなふうに思えてくる。そのあっけらかんとした風景が心地よい。いやもしかしたら、登場人物たちは確かに構図の中に閉じ込められていたのかもしれない。ただ、おいらがちょいと目を離したすきに...

広重が描いた旅籠屋と云われる相模楼の跡、今はコンビニになっている。
そのコンビニで缶コーヒーを買い、煙草で一息ついてから、再び旧街道。
リンク先で、相模楼の写真が見れるけど、
なるほど一階がぐるりとナマコ壁で覆われていて、
こりゃ土蔵だわ。

Shinagawasyuku_6

こんな看板発見。
看板に釣られ軒先をくぐる。
NPO「東海道品川宿」と書いてある。
商店主が出資(?)して、人を雇ってお店を運営する、
土日には、軒先で町の案内をするということらしい。

「まちあるき」は5人まで1,000円、コース設定などリクエスト可、
外国人向けに通訳ありとのことで、
おいらは、
街道脇の下り坂をひとつずつ案内してもらおうかしらと思ったけど、
完全予約制なので、あきらめる。

やはり缶コーヒーでなくビールが飲みたい。
それで、ひとしきり雑談ののち、
NPOさんのお店はいずれも夕方開店なので、いまは無理。
良く冷えたコクのあるビールを出す店を教えてもらい店を出る。

<br />Araiya_2<br />

NPOさんが運営してるお店はさっきのところともう一軒あって、
それがこちら。
落語『居残り佐平次』に登場する鰻屋だったお店。
今は、鰻でなくイタリアン。

『居残り佐平次』も『品川心中』も郭が舞台。
どちらも談志ひとり会で聴いたことある。
あまりじめっと陰惨な噺にならないのは、
海に面した品川の風通しのよさのせいかしらん。
とか、書いておいて、
一番のお気に入りは『黄金餅』だったりして。
あ、でも、郭噺はどれも好きです。

写真中央の看板建築の建物が旧『荒井屋』。
写真は手前が海側、奥が旧東海道になる。
交差点を過ぎて、数十m先が旧東海道。
そこで例の坂道になる。

ってことは、ここは海の底、あるいは海岸だったということになる。
広重の描いたリアルっぽい品川宿、じっと見てると、
途端に、海の香りと、ある種の場末感が脳裏をよぎる。
開放的な品川宿で、わざわざここの鰻だった理由が分かった気になる。
その場末感のおかげで、『居残り佐平次』がリアルに感じられる。

「荒井屋の中荒(中串)かなんかとって貰おうじゃないか、白焼きでこうやって、それと蒲焼きを、それを熱いおまんまの上に乗せてウナ茶漬けなんかでやろうじゃないか」


『月の岬』の客人達は浜に行ったのではなく、
鰻で一杯やりに、荒井屋にしけこんだのかもしれない。

てやんでぃ。

《追記》
品川心中。
「お金がないと越せないの。だから死のうとおもう」
「それじゃ~、裏の海に飛び込もう」「それはダメだ。俺は泳げない」
の一節で、おいらはいつも、
優歌団の「シカゴバウンド」を思い出してしまう。
Tag : 品川宿 
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