歩くひと。佇むひと。

2008/04/24 (Thu) 在郷の見えない水路

見えない水路
区の半分をささっと歩くことで町の構造を体で理解するという歩き方が、砂町辺りではさっぱり役に立たなかったというのが前回エントリのお話。なぜ、さっぱりだったのかを考える糸口が砂町銀座商店街を書いたこっちのエントリ

これまでの町歩きでは、事前に片っ端からWEBを廻って、その町について調べまくる。歴史も文学も焼き鳥もラーメンも桜の名所も公共事業もとにかく調べまくる。調べてわかったことをもとに、町歩き体験記を書く。もちろんその町に行ったことなどないのだけど、あたかも行って目で見てきたかのように体験記を書いてみる。「あたかも見てきたかのように...」,これを重視した。その上で、初めて町に出てみるというやり方。

なんでそんなことをやったのかというと、「WEBに書いてあることってどこまでのっかれるんだろうか?」というのを確かめてみたかったのだ。「情報を信用してよいか?」ではなく「のっかれるか?」と書いたのは、「情報全体が町を表わしてしまっているか?」ということに関心があったからだ。WEBに様々な情報が集まってきているけど、そういう個々の情報が集積していくと、町に近付いて行くのだろうかというようなこと。人が勝手に集まってきて住んでそれでも町になるのなら、勝手気ままなWEBのコンテンツが集まってみたらやっぱり町になっているんじゃないかと、雑にいうとそんな発想。だから、町に出るときも、WEBで知った情報ひとつひとつを確認するというよりも、情報全体から仮想の体験記を起こしてみて、そこで、あたかも見てきたように書き、あたかも体験したかのように驚き、満足してみるというようなことをやってみたのだ。

これ、結果はまんざらでもない、というのが今のところの判断。で、王子は円グラフだとか、町屋〜王子は串刺しにした団子だとか、千住〜浅草橋は吹き出した炎だというのは、上のようなことをやって得られたことの副産物ということになる。自分としては、こっちの副産物、WEBと町歩き組み合わせで得られた体感!に驚いたというわけ。でも、砂町では体感はなかった。WEBが著しく劣化した情報ばかりだったということはない。ただ、WEBから想像する全体像と、町の景色はすれ違ったままだった。砂町はただただ海が続くだけで、海の中にポカンと商店街という島が浮かんでるだけだった。円グラフとか串刺し団子とか妖艶な炎も立ちのぼることはなかった。寒い季節がやってきたこともあって、町歩きをしばらくお休みすることにした。

全体を小走りしてわかった気になってさらにのめり込む式の町というのがある。それでは、取っ掛かりが得られない町というのがある。たぶん「全体」ということに関係するのだと思う。それは、「在郷」という言葉とも関係するのだと思う。ところで、在郷に広がる「海」は本当に海なのだろうか。もしかしたら、海の中に見えない水路が地下茎みたく広がっているんじゃないか。

というわけで、今年も町歩きます。

※)写真は葛飾区立石。

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