東京バーベキュー ~歩くひと、佇むひと~
「ひゅーッ!、ジェットコースター、ゴーゴーッ!」
「どうしたんだよいきなり」
「この前さ、京成電車に乗ってさ。何年ぶりだろう、京成日暮里駅の改札口通ったのって」
「ついに頭いかれたかのかと心配したぞ。それで、京成電車がおまえの絶叫となんか関係あるのか?」
「いや、これがさ、凄いのよ。今の京成日暮里駅ってさ。昔の京成日暮里駅って、JRの隅っこを間借りしてますみたいな哀愁が漂ってたじゃん。それが今はさ、全然違うのよ」
「そうは云っても、ただの駅だろ」
「いやいや、まずね、一つの線路の両側にプラットホームがあるのよ。これ、人間ロケットの発射台みたい。その発射台の上のドーム屋根がなんか白い布で出来てるっぽい。そんなのが地上遥か上空に浮かんでるわけよ。これってさ、遊園地のジェットコースター乗り場、そのままじゃん」
「ふうん。で?」
「その日は青砥まで行く用事があったの。青砥って葛飾区だし、そんなに長い距離じゃないから、鈍行でよかったんだけどさ。せっかくジェットコースターに乗るんだから、最速のジェットコースターに乗りたいじゃん。それで、20分待ってわざわざ特急電車に乗った。おかげで遅刻しちゃった」
「阿呆かおまえは...」
「そんなことないぞ。現に、他のお客さんもほぼ全員、鈍行電車はやり過ごしてたぞ。やっぱり、みんな同じ気持ちなんだよ」
「違うわい」
「ようやく特急電車が見えてきたんで、『よっ!、待ってました大統領!、憎いねェ、このォ』ってね、合いの手入れてさ、『た~まやぁ~!』とか掛け声かけて特急電車を迎えるのよ。なかには、ウェーブまでするやつがいてさ、それは危険だから止めとけって説教しといた」
「そんなわけないだろ、いい加減なやつだな。それよか、何の話がしたいんだよ」
「ああ、そうそう。日暮里駅もそうなんなけど、それ以上に、京成から眺める車窓の景色が凄くてさ、まさにジェットコースターだった」
(車窓その1)
「なんだか、とりとめもない風景だね。どこに視線を合わせたらいいか迷うな」
「高層マンションが見えるんだけど、高層マンション以外は何となくの空き地だったりしてさ」
(車窓その2)
(車窓その3)
「どれも似たような景色だね。妙なスキマが印象的だ。マンションみたいな超高密度で人が住んでる場所と、スキマのバランスが独特なのかな。よーく見ると、スキマの正体が意味不明なでかい道路だったり、工場の敷地なのか、もうやめっちゃった工場の跡地なのか、微妙な感じだったりしてる。それに、一見スキマっぽくっても、実際には小さな戸立て住宅がびっしり埋まってるんだ」
「でしょ。あとこんなのも見えたぞ」
...というわけで、つづく。
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